■味噌汁プロジェクト~下ネタは世界を救う・番外編~ver.惑子
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「うあー! 腹減ったなあ!」
そう叫びながらキッチンに入ってきた練へと斎藤が気を利かせて冷蔵庫を覗きながら言った。
「何か作りましょうか。……サラダならすぐできそうですよ」
「うん。そうだなー。……あ、待て、やっぱいい。てかむしろだめ」
「でも冷蔵庫にナスとズッキーニがありますよ」
「だめ。それ絶対使うな。使ったら殺す。ナスは誠一でズッキーニは龍太郎なんだから」
「……は?」
練は視線を落とし、斎藤の下半身を見た。
「おまえは……オクラでいいか」
「……ええと?」
「ナスもズッキーニも冷蔵庫から出しといて。ひんやりしてるのもそれはそれで気持ちいいんだけど、やっぱり人肌だよなあ」
ぶつぶつと言っている練の横のドアが開いた。顔を覗かせたのは長谷川環だった。
「社長? いるの? あたしちょっと買い物行ってきますね」
「あ、環、出かけるならオクラ買ってきて」
環は隣に立つ練と、両手にナスとズッキーニを持った斎藤とを交互に伺うように見比べた後に口を開いた。
「……トウモロコシもいります?」
「あ、いいね。頼む」
練はさも嬉しそうににっこりと笑った。
「いってきまーす」
あ、と練は声を出すと何かを思いついたのか手をぽんと叩き後ろを向きかけた環の背中に呼びかけた。
「環! 環! フランスパンも!」
環は顔だけを練へ向けて大真面目に頷いた。
「固めで了解」
そう言うと、環はきびすを返して颯爽と出て行った。練はその姿を見て感心したように腕を組んだ。
「やっぱり気が利くなぁ、環は。とうもろこしにフランスパンか……これはまた……ツブツブが……固め……ひひひひひ」
「わ……若……?」
「ナス……ズッキーニ……トウモロコシ……。明日はみんなをよんでバーベキューでもするかー。肉はなしで。……いや、肉、か。肉、肉ね。ふふふん。あ、フランスパンもあるならサンドイッチ作ってピクニックでもいいかな。パンも具もサンドイッチ丸ごと俺の味~。トウモロコシはデザートかなー」
「若……」
ニヤつきながら独り言をぶつぶつと言う練を斎藤は気味悪げに見ていた。
――三十分後。
「社長? こんなの見つけましたけど」
環が買い物袋からむんずと取り出し掲げたものを見て、練は満面の笑みを浮かべた。
そう、それは……。
「ゴーヤかあああああああ!」
今夜、練のベッドには数々の食物が並び、若頭サマのお相手をすることになる。
そして、その食物はひとかけらも無駄になることなく、翌日下僕たちの口へと運ばれることになるのだった。
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……書き逃げッ!!
(20100817)